岡田英弘

われわれ一人一人が経験で知っているとおり、人間というものは、生まれながらにして不平等なものだ。生まれついての能力にしても、育った環境にしても、みんなそれぞれ違う。それなのに、民主主義の制度は人間はみなそれぞれ、自由な意思で決断し、自立的にふるまう能力を持っている、ということを前提にして、作られている。現実には、大多数の人間は、自分がしていることも自分でわかるだけの頭もなく、自分の生き方を自分で決めるだけの強さもない。つまり民主主義には向かない。